第1回次世代ものづくり基盤技術研究会
●日時:2009年7月2日(木)13:15〜17:20
●場所:ナディアパーク デザインセンタービル6階 プレゼンテーションルーム
<講演会プログラム>
第1部 「接合加工,表面改質関連研究の最新のトピックスと課題」
- ・講師
- 豊橋技術科学大学 未来ビークルリサーチセンター長 生産システム工学系教授 福本 昌宏氏
- ・概要
- 非溶融での接合法として脚光を浴びている摩擦攪拌接合FSW法による輸送機器軽量化のための異種材料間接合技術,ならびに厚膜創製の代表プロセスである微粒子積層による膜創製プロセス:溶射,コールドスプレー,エアロゾルデポジション法に関する研究の現状,最新のトピックスならびにそこでの課題を紹介した。
第2部 「ものづくりに生きる自己組織化原理を利用した接合・接着」
- ・講師
- 名古屋大学大学院工学研究科 マテリアル理工学専攻 材料工学分野 生体機能材料 学講座ナノ集積工学グループ講師 安田 清和氏
- ・概要
- 多くのIT機器やハイテク家電製品の組立製造においては、はんだ接合や樹脂接着が広く採用されている。高度部材や微小部品の実装にはプロセス低温化による環境負荷低減や新工法による劇的な低コスト化が要望される。本講演では、接着樹脂の硬化に先立ち、低融点を有する添加合金微粒子を溶融させ、選択的に金属接続を形成する「自己組織化接合・接着」を紹介した。本手法は電極の金属接合による電気的接続と樹脂接着を一括同時に行えるため、組立プロセスの簡易化・省コスト化に貢献できると考えられる。
第3部 「摩擦撹拌スポット接合継手強度に及ぼす接合条件の影響について」
- 講師
- 岐阜県機械材料研究所 電子応用研究部長 戸崎 康成氏
- 概要
- 地球温暖化問題を考慮すると機械・構造物の軽量化は不可欠であり、軽金属材料、とりわけアルミニウム合金の使用が増加している。そのような中でアルミニウム合金の画期的な接合方法として摩擦撹拌接合(FSW)が開発され、次いで重ね合わせ点接合にFSWを応用した摩擦撹拌スポット接合(FSSW)が開発された。FSWは開発後比較的短期間のうちに船舶や鉄道車両などの接合に適用されている。一方、FSWから派生したFSSWは開発されてから短期間の新しい技術である。抵抗スポット溶接に比べて利点が多いことから、自動車部品、電気関連機器への適用が検討され、一部ではすでに使用されている。しかし、ツール形状や接合条件の強度特性に及ぼす影響、撹拌中の材料流動、破壊機構など技術的に未解決な点が多い。
こうした背景から、本論文ではアルミニウム合金のFSSWについて、接合に使用するツール形状や接合条件が接合組織や静的強度に及ぼす影響および破壊機構について検討し、さらに新たな形状のツールを考案し、このツールによる撹拌効果と継手の接合組織および強度特性について検討した。
第4部 「ポリペプチドの吸着と自己組織化」
- 講師
- 名古屋工業大学 副学長 大学院工学研究科物質工学専攻教授(ながれ領域)
木下 隆利氏
- 概要
- β構造を安定に形成するポリペプチドを分子設計的に合成し、固体基板上に吸着させたところ、吸着にともない基板上で自己組織化し、ナノサイズのラインパターン構造を形成することを見出した。同ペプチドの合成法や特異なゲル化挙動などについても平易に解説した。